竹原和彦略歴

竹原和彦
1979年東京大学医学部医学科卒業
1979年東京大学皮膚科学教室に入局
1980年東京大学医学部附属病院皮膚科 文部教官助手
1984年米国サウスカロライナ医大リウマチ病教室 研究員
1987年東京大学医学部皮膚科 講師、同年同大学より医学博士取得/日本皮膚科学会専門医取得
1994年金沢大学医学部皮膚科学講座 教授
2020年金沢大学定年退職:訪問診療専門アトピー診療開始
主な加入学会と役職

日本研究皮膚科学会 理事(1995~2008年)
日本皮膚科学会 理事(2000~2012年)
日本臨床免疫学会 理事(1999~2002年、2006~2009年)

その他

強皮症研究会議皮膚科代表世話人(1998~2020年)
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎不適切治療健康被害実態調査委員会委員長 (1999~2001年)
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題担当理事(2000~2006年)
厚生労働科学研究費補助金特定疾患対策研究事業(強皮症研究班)主任研究者(2002~2008年)

わたしはこうしてアトピー性皮膚炎診療と関わってきた

わたしが本格的にアトピー性皮膚炎の診療に関わるようになったのは、1994年に金沢大学に教授として赴任して以来のことで、メディアのステロイドバッシングによるアトピー性皮膚炎医療の混乱を石川県の治療医療の場でも目の当たりにし、自分が先頭になってこの混乱に立ち向かわなければならないと感じたからです。
そこで、アトピー性皮膚炎の専門外来を立ち上げ、直接大勢の患者さんの治療に当たりましたが、すぐにこの混乱の背景には「アトピービジネス」という社会悪が暗躍していることに気付きました。

「アトピー性皮膚炎患者を対象として、医療保険外の行為によってアトピー性皮膚炎の治療に関与し、営利を追求する経済活動」で「科学的にその効果が証明されていない」ものを「アトピービジネス」と定義し、社会問題としてのアトピービジネスという社会悪の存在を世に発信しました。

また、こうした問題についての考えを何冊かの書籍にまとめ上梓したところ、真っ先にわたしの所属する日本皮膚科学会が対策を講じることとし、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎不適切治療健康被害実態調査委員会を組織し、わたしを委員長に任じました。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題担当理事も創設され、その要職を務めさせて頂きました。
その後、この委員会を中心とした10年以上にわたる活動によって、NHKをはじめとする多くのテレビ報道や多くの週刊誌などの「アトピービジネス」問題報道により、アトピービジネスなる社会悪の存在が広く認識され、現時点ではアトピービジネスのかなりが衰退したと自負しています。
しかしながら、アトピー性皮膚炎の治療の混乱は完全には解消されたとはいえず、ステロイド外用薬を含めた標準医療に対する不安、不信は今なお深く患者様の心に残っていると思います。

金沢大学病院勤務時は、アトピー性皮膚炎医療に関する患者様の不安、不信に対応するため、初診時には約1時間のミニレクチャー(アトピームンテラ)を実施してきました。また、再診時には若手医師のサポートによって2つないし3つの診察ブースを駆け巡って診察することによって、常時1000人以上の患者様の主治医を務めてきました。トータルでは金沢大学病院時代に数万人の患者様の診療をしたことになります。
そして今後は、新しい医療の形を提唱しつつ、アトピー性皮膚炎の診療に携わっていきたいと思います。