推薦文

アトピー訪問診療の活動を応援している仲間からの推薦文を紹介いたします。

東京大学皮膚科教授
佐藤 伸一先生

竹原先生には私が東京大学医学部皮膚科学教室に入局以来、公私にわたり暖かいご指導を頂き心より感謝申し上げます。

まず、入局後に竹原先生がチーフを務められていた強皮症外来にお誘い頂きました。その後強皮症について診療はもちろんのこと、研究もご指導頂き、私にとっては大変印象深い最初の英語の論文も竹原先生にご指導頂いたものです。
アメリカへの留学は、入局以来私の夢でしたが、これも竹原先生のご尽力で実現することができました。その後、竹原先生は金沢大学皮膚科学教室に教授として異動されましたが、留学から帰国後は、竹原先生のお誘いで、私も金沢大学に異動しました。

金沢大学では自由に診療、そして研究に打ち込める素晴らしい環境をお与え頂き、今でも大変有り難く思っております。丁度その時に、竹原先生は当時大きな社会問題となっていましたアトピービジネスの根絶に精力的に取り組まれていました。そのお姿を傍らで拝見することができる機会に恵まれたことは私にとっては大変幸運でした。

竹原先生は全力でアトピー性皮膚炎の患者さんの診察に当たられ、アトピー性皮膚炎で悩まれている患者さんに真摯に寄り添い、個々の患者さんに最適の治療を行われていました。実際に、先生の丁寧な診療によって、多くのアトピー性皮膚炎患者さんが救われました。しかし、未だ全国にはアトピー性皮膚炎に悩まれている患者さんが多数おられると思います。

竹原先生の新しい診療がそのような患者さんの大きな福音となり、多くの患者さんが救われることを心より祈念申し上げます。

大阪大学皮膚科教授
藤本 学先生
竹原和彦先生の金沢大学医薬保健研究域医学系皮膚分子病態学教授の御無事の御退職ならびにこのたびの新たな御起業に際しまして、心よりお祝いを申し上げます。また長年にわたる皮膚科学への多大なる貢献に心より敬意を表したいと存じます。私は、東京大学皮膚科学教室および金沢大学皮膚科学教室におきまして、延べ10年近くにわたって先生のご指導を賜り、医師の基盤になるところからトレーニングして頂きまして、大変に感謝しております。このたび、先生がこれまで長きにわたってライフワークの一つとされてきたアトピー性皮膚炎の診療の新しい形にチャレンジされますことに感銘を受けますとともに、これまでの旧態依然とした医療界に新しい風を起こされることと確信しております。アトピー性皮膚炎の患者さんは学校や仕事との兼ね合いで、思ったように病院に通院できないことも多く、困っておられる方も少なくないと推察致します。先生の新しい訪問診療が多くのアトピー性皮膚炎の患者さんたちのアンメットニーズを満たすことになって大きな福音になるとともに、このような診療形態が皮膚科の多くの疾患において普及していくことを望んでおります。今後何卒お身体にお気をつけ頂き、ますますのご活躍とご発展を心より祈念申し上げます。
福井大学皮膚科教授
長谷川 稔先生

私が金沢大学で皮膚科医になって3年目に、東京大学から竹原教授が赴任されてきました。聡明でバイタリティー溢れる若き教授が来られて、教室の雰囲気は大きく変わりました。

赴任直後にまだ新米の私にも熱く語られていたのは、“アトピー性皮膚炎の治療方針が皮膚科医の間でも揺らいできている”ということで、ステロイド外用薬を悪者にすることにより商売をする悪質な民間療法や当時の誤った報道に危機感を抱かれていました。これまで皮膚科医が行ってきた基本的な治療からぶれてはいけないとおっしゃっていました。そして、アトピー性皮膚炎外来を開設され、診察とは別にアトピームンテラという患者さんやご家族に時間をかけて説明する時間をとられていました。そして、病気とは関係のないユニークな話を交えながら患者さんの心をつかみ、外用の方法を患者さん自身に習得してもらっていました。そして、全国から沢山の難治性の患者さんが通院され、誰もが笑顔になって帰られていく光景がいつもみられていました。

アトピー性皮膚炎の治療は、当然ですが、適切な薬を正しい方法で外用することに尽きます。どちらが欠けても症状は良くなりません。外用薬の主体はステロイド外用薬ですが、もし正しい方法で外用を続けても良くならない場合には、外用薬が適切でない可能性もあります。よくあるのは、副作用を心配しすぎて、皮疹の状態に対して弱すぎるステロイドしか処方されない、皮疹が悪化した場合やひどい場合にも、それに適した強い外用薬を処方されないケースです。弱い薬を漫然と外用しても決して良くならず、症状が強いときは強い薬をしっかり使用して、十分に軽快してから弱い薬に変更すべきです。また、あまりに少量の外用薬しか処方してもらえず、すぐに足りなくなって症状が悪化するケースもあります。一方の外用方法についてですが、実際に塗っている量が本来必要な塗布量よりも少ないという患者さんが少なくありません。竹原先生は自らの腕に外用薬を塗ってみせて、塗り方を指導されています。また、部位や症状による塗り分けに関して、人体図に色鉛筆などで記入した紙を渡して、わかりやすく説明されていました。もちろん、外用が毎日できない、すぐにやめてしまうという患者さんは、症状の改善が見込めないのですが、竹原先生はカリスマ的なトークで治療意欲を高めていきます。

医療の世界では、ガイドラインとかエビデンスとか、科学的なデータに基づく、あるいは多くのエキスパートが同意するような治療法が推奨されています。そのような指針は、皮膚科医全般、あるいは皮膚科以外の医師がエキスパートに習った治療をするために必要なのは間違いありませんが、竹原先生の診療はご自身の考えと豊富な経験に基づいたものです。お忙しい立場にありながら、日本の他のどの教授よりもアトピー性皮膚炎の患者さんを沢山診療されてきた、そして寛解・治癒させてこられた事実が、竹原先生の治療方針の正しさを物語っています。通常の診療でアトピー性皮膚炎がどうしても良くならないという方にとって、竹原先生の訪問診療は人生を変えてくれるものと信じています。

金沢赤十字病院皮膚科部長
川原 繁先生

竹原先生は、1994年11月に金沢大学の皮膚科教授に赴任され、25年以上にわたり皮膚科の診療・研究・教育に携わってこられました。私も竹原先生の教えを受けた1人です。
竹原先生がアトピー性皮膚炎にどのように向かい合ってきたかについて、間近で見て来た者として是非紹介したいことがあります。私は2000年4月に国立金沢病院(現在の金沢医療センター)に異動しましたが、当時、竹原先生はアトピー性皮膚炎治療の第一人者として全国的に有名になり、多くの重症のアトピー性皮膚炎患者さんが全国各地から金沢大学皮膚科を受診されました。金沢大学病院の病床数に限りがあったため、かなりの患者さんは金沢大学病院から比較的近い国立金沢病院に入院していただきました。

私はそれまでの6年間に竹原先生からアトピー性皮膚炎の治療についてしっかりと教えていただいていたこともあって、金沢大学病院に入院した場合と同様の手厚い治療を心がけました。竹原先生は日々忙しい中、毎週水曜の夜に金沢大学での仕事を終えた後、国立金沢病院まで来られて、入院しておられる患者さんを1人1人丁寧に診察されました。その際は、患者さんに「痒みは減りました?」とか、「夜よく眠れるようになりましたか?」という質問をされながら、必ず腕や背中をなでながら、「とてもよくなりましたね」とか「ここはイマイチだからもうしばらく強めの塗り薬を続けましょう」と具体的な指導をされました。その時の患者さんの笑顔は今でもよく覚えています。

竹原先生は教授として研究と教育に熱心に取り組んでこられた方ですが、診療に対しても熱い情熱を持っておられる方だと思います。いつも患者さんがどんなことに困っているかを考えて、患者さんにとってベストな状態になるように考えて診療されます。

竹原先生が2020年春からアトピー性皮膚炎で困っておられる患者さんとご家族のために訪問診療を開始されると聞き、さらに尊敬の念が深まりました。竹原先生の力添えで一人でも多くのアトピー性皮膚炎患者さんが良くなられるように願っています。

みどりの森ひふ科クリニック院長
矢澤 徳仁先生

東京都新宿区でみどりの森ひふ科クリニックの院長をしております。
竹原和彦先生とは東京大学皮膚科に研修医として入局した時、東京大学皮膚科の講師をされていて、皮膚科外来で皮膚科診療の基礎を丁寧に教えていただきました。その後、金沢大学の教授として赴任されてからも、皮膚科の臨床、研究など、常にいろいろとよいアドバイスをいただき、大変感謝しております。

当時外用ステロイドを必要以上に心配される患者さんも多く、アトピー性皮膚炎を重症化させてしまう患者さんもみられました。金沢大学に行かれてから日本皮膚学会を代表してアトピー性皮膚炎の適切治療を広める努力を精力的にされておりました。

竹原先生の診察を求めて、全国から金沢大学に多くの難治性のアトピー性皮膚炎患者さんが集まり、関東からもわざわざ受診される患者さんもいました。竹原先生はアトピー性皮膚炎の診療に積極的に取り組まれ、その診療方針、姿勢は大変参考になり、いつも勉強させていただいております。

関東地方から重症化して金沢大学を受診し、その後数年間金沢大学に通院の後に当院に紹介された患者様もこれまでに通算数百名になります。多くの患者様は、外用療法の自己管理がほぼ完ぺきに教育され、当院では金沢大学の治療方針を踏襲するだけで良好な結果を得られています。

竹原先生は、初診時にすべての患者様に1時間の説明時間を取られていると聞いています。
竹原先生は、強皮症という難病の世界的権威ですが、一方ではアトピー性皮膚炎という身近な疾患にも「熱い」診療をされていることが、紹介されてきた患者様から伝わってきます。

教授退官後は新しいアトピー性皮膚炎の診療を計画されているとのことですが、今後も竹原先生の患者教育が終了した患者様のお手伝いをさせていただければと思います。