- Q11外用薬の使い方の指導というのはどのように行われるのでしょうか?
- 初診から数回の診察では、患者様の全身の皮膚を観察し、部位ごとの重症度を説明しながら、わたしが素手で外用薬を全身に塗らせていただきます。初診から数回後の診察からは「この状態の場所にはどの薬を塗るのが適当だと思いますか?」と聞きながら、わたしと患者様で共同で薬を塗るようにします。その後は「今の状態で、どのような薬を選んでそのように塗りますか?」と患者様が外用する様子をチェックしながら、外用指導をしていきます。最終的には、診察時にほぼ外用する必要がない程度にコントロールされているのがベストです。
- Q12ステロイド外用薬を使い始めるといつまで続けるのでしょうか?中止できなくなることは無いのでしょうか?
- 適切なステロイド外用薬を使用するとおおむね1~3週間で症状は改善し、ステロイド外用薬の使用はいったん中止可能となります。もちろん、慢性的な病気ですので、再燃はありますが、その後は必要時のみの使用で十分なコントロールが可能なように指導させていただきます。
- Q13ステロイド外用薬の治療でどのくらいの期間でかゆみはコントロールされるのでしょうか?
- 患者様の重症度や治療への取り組みによって、かゆみがコントロールされるまでの期間は変わってきます。金沢大学病院時代の患者様は初診後1週後に必ず再診していただくことにしていましたが、適切なステロイド外用薬の使用により、1週間後にはかなりの患者様に信じられないほどにかゆみが良くなったと言っていただきました。
- Q14強いランクのステロイド外用薬ではなく、弱いランクのステロイド外用薬で治療したいのですが?
- 強いランクのステロイド外用薬を用いて1週間で改善して中止できるのと、弱いランクのステロイド外用薬で4週間かかって改善する、あるいは4週間かかっても十分改善しないとするとどちらが良いと思われますか?治療法の細かい部分については、専門医であるわたしに任せていただきたいと思います。
- Q15ステロイド外用薬は副作用の怖い薬と効きましたが、大丈夫ですか?
- ステロイド外用薬の主な副作用は正常な皮膚に漫然と使用し続けることによって起こる皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)と外用部位におけるニキビ、おできなどの皮膚感染症の増加です。それ以外の誤解も広く伝わっているようですが、それらについては訪問診療申し込み前の対面説明の際に解説させていただきます。
- Q16プロトピック軟膏というのはどのような外用薬ですか?
- ステロイドではない外用薬(タクロリムスという成分が主成分)で皮膚萎縮の副作用がないという長所の反面、外用時に刺激感が強いという欠点を持っています。一般に皮膚萎縮が問題となる顔面に使用されることが多いです。刺激感を避けるためには、いったんステロイド外用薬で炎症を沈めてプロトピック軟膏に移行するのがわたしのやり方です。
- Q17抗ヒスタミン薬というかゆみ止めの内服薬はどのように使われますか?
- 抗ヒスタミン薬単独ではアトピー性皮膚炎のかゆみをコントロールすることは難しいため、必ず外用薬と併用します。わたしは中等症、重症のアトピー性皮膚炎の患者様にはかゆみを和らげるために副作用としての眠気が少ない内服薬を処方するようにしています。アトピー性皮膚炎のコンロールが良好になれば、抗ヒスタミン薬は中止して外用療法のみにすることが多いです。
- Q18保湿薬はどのように使われますか?
- 保湿薬はあくまで完全にすべすべになった炎症の無い皮膚への再燃予防の薬として使用します。少しカサカサした乾燥肌はアトピー性皮膚炎の初期の炎症からくるものですので、それに合った外用薬を処方します。
- Q19薬はどのようにして入手するのでしょうか?
- わたしがすべて持参しますので、調剤薬局に行く必要はありません。
- Q20診察に際して血液検査は施行しないのでしょうか?
- 金沢大学病院時代もアトピー性皮膚炎診療では血液検査を行わない方針を貫いてきました。アトピー性皮膚炎の診療においてIgERASTという検査が広く行われていますが、この検査は花粉症や蕁麻疹に対するもので、アトピー性皮膚炎診療において行う意味は少ないとわたしは考えています。